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アニメキャラのアイコンで「きわどい発言」を連発!? 問題にならないの?
2013年11月15日 12時05分

ツイッターなどのソーシャルメディアで日常的に行われている議論や意見交換が、言い争いに発展する例は珍しくない。なかには「バカ」「カス」といった言葉が乱れ飛ぶ、単なる罵倒・中傷合戦といった様相を呈するものも少なくない。

そんなとき、ふと気になるのが、発言者が使っている「アイコン」だ。発言者自身の顔写真が表示されている場合も多いが、人気アニメのキャラクターやアイドルの写真がアイコンとして使われることも少なくない。そんなアイコンの隣に罵倒や中傷の言葉が並んでいると、そのギャップに驚かされることがある。

アニメキャラやアイドルの写真を自分のアイコンとして勝手に使い、そうした発言を繰り返すことは問題にならないのだろうか。また、その画像がツイッターのアイコン用として、公式に提供されたものだった場合はどうか。著作権などの知的財産権にくわしい松島恵美弁護士に聞いた。

ツイッターなどのソーシャルメディアで日常的に行われている議論や意見交換が、言い争いに発展する例は珍しくない。なかには「バカ」「カス」といった言葉が乱れ飛ぶ、単なる罵倒・中傷合戦といった様相を呈するものも少なくない。

そんなとき、ふと気になるのが、発言者が使っている「アイコン」だ。発言者自身の顔写真が表示されている場合も多いが、人気アニメのキャラクターやアイドルの写真がアイコンとして使われることも少なくない。そんなアイコンの隣に罵倒や中傷の言葉が並んでいると、そのギャップに驚かされることがある。

アニメキャラやアイドルの写真を自分のアイコンとして勝手に使い、そうした発言を繰り返すことは問題にならないのだろうか。また、その画像がツイッターのアイコン用として、公式に提供されたものだった場合はどうか。著作権などの知的財産権にくわしい松島恵美弁護士に聞いた。

●アニメキャラの無断使用は著作権侵害、きわどい発言は著作者人格権の問題も

アニメキャラは架空の存在だが、アイドルは実在の人間ということで、問題となる法律も違うようだ。松島弁護士はそれぞれについて、次のように説明する。

「まず、アニメキャラの画像は著作権で保護されていますので、アイコン用に公式に提供されたものでない限り、ユーザーが勝手にアイコンに使うことは複製権や公衆送信権の侵害となります」

では、かわいいアニメキャラのアイコンで、誹謗中傷や卑猥な言葉をツイートした場合はどうだろう。

「アニメキャラのアイコンを使って、そのキャラクターが本来ならば発しないような言葉を発した場合、発言内容によっては作者の名誉や声望を害する方法で利用したとされ、著作者人格権(同一性保持権など)の侵害となることもあります。これは、アイコンが公式に提供されている場合も同様です。そのような形での利用まで許容しているとは考えられないからです」

このように松島弁護士は指摘するが、現実に責任追及がされるかといえば、話は別のようだ。

「著作権や著作者人格権の侵害には刑事罰があるものの、現在のところ、被害者である権利者の告訴がないと、刑事責任の追及はされません(親告罪)。また、このようなアイコン利用に対しては、民事上の著作権侵害に基づく損害賠償請求や差止請求なども、滅多にされないのが実情です」

こう述べつつ、松島弁護士は、「ただ、TPPの交渉では、著作権侵害の『非親告罪化』が議論の対象になっているようですので、今後の展開が気になるところです」と注意をうながしていた。

●アイドル写真の無断使用は肖像権・著作権侵害、きわどい発言は人格権侵害も

では、アイドルの写真をアイコンに使った場合は、どんな法的問題がありうるのだろうか。

「アイドルなど人物の写真や似顔絵を使う場合、アイコン用として公式に提供されたものでない限り、肖像権侵害となります。また、写真の撮影者や似顔絵の作者の著作権侵害にもあたります」

このように松島弁護士は述べる。では、アイドルの画像のアイコンで、誹謗中傷などの問題発言をしたら、どうなるのか。

「アイドルなど人物のアイコンを使って、その人物が本来発しないような言葉を発した場合、発言内容がその人物の名誉感情を害すれば人格権侵害(不法行為)となる場合があります。

また、なりすましなどによって、他のユーザーがその人物の発言と信じるような状況などで、その人物の品性などについて社会的評価を低下させれば、民事上の名誉毀損(不法行為)や刑事上の名誉毀損罪、侮辱罪(いずれも親告罪)になる場合もあります」

ツイッターでは、アニメキャラやアイドルのアイコンでツイートしている人をよく見かけるが、アイコン画像やツイートの内容によっては「違法行為」となる可能性もあるのだ、ということを肝に銘じておいたほうがよさそうだ。

【追記】著作権法の条文に即して、一部、表記を改めました。(11月26日15時45分)

(弁護士ドットコムニュース)

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