この事例の依頼主
20代 男性
相談前の状況
Bさんは交際している女性から「強姦」されたと告訴され、逮捕されてしまいました。Bさんは、全く覚えがなく、弁護士会を通して弁護士を依頼しました。
解決への流れ
弁護士は直ちにBさんのいる警察署に出向き、Bさんから事情を聞くことにしました。Bさんは、暴力を用いて性交渉を行った事実は絶対ないと主張していました。弁護士は「否認するためには記憶を喚起する必要性があり、警察の調べに屈さないことが大切」と助言し、その後も弁護士はBさんの面会を繰り返し、Bさんと女性の関係や当日の性交渉に至るまでの行動パターンを繰り返し、詳細に聞き取りました。警察の調べが辛く、Bさんは「認めた方が良いのではないか。自分の主張はとおらないと警察は話している」と不安な気持ちを吐露してきました。弁護士は「Bさんがこれまで話してきたことと事実が違うならば別だが、事実が同じなら戦うべき」と激励しました。そして、弁護士はBさんから詳しく聞き取った事情をまとめて、検察官に「被疑者の主張に矛盾はなく、信用できる。起訴するなら争う」旨の意見書を提出しました。勾留満了日の夕方に処分を検察官に聞くと「釈放した」との回答が得られました。Bさんからその夜遅くに電話があり、感謝のことばがありました。
逮捕された事実を否認して争う方法としては、被疑者段階(起訴されるまで)と起訴後に分かれます。新聞記事で大きく取り上げられるのは起訴後の刑事裁判での「無罪判決」ですが、裁判は相当な期間を要します。弁護士としては、なんとか被疑者段階(逮捕後23日間)で有利な解決をすることを第1と考えます。本件のような事案では、加害者とされる者と被害者とされる者との間の供述にどちらがより説得力ある話をしているかに関わります。被疑者段階では弁護士は、被害者の主張は全くわかりませんので、被疑者の供述を詳細に聞き出し、その供述だけでも刑事裁判では「無罪」になる可能性を検察官に伝え、説得する力が必要となります。本件ではBさんを励まし、詳細な事実を聞き出せたことが、成功した要因といえます。23日間の身柄拘束期間で捜査機関は被疑者を不安にさせる言動をするのもたびたび見られます。弁護士はそういった場合に、面会回数を増やし、励まして被疑者を支える役割を有しております。