この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
依頼者は処方薬に依存し,家族もこれを入手するための協力をしている中,依頼者が現住建造物等放火事件を起こしました。薬物依存症の回復支援団体ダルクの協力を得て,依存症からの回復によって減刑を目指す弁護活動をすることになりました。
解決への流れ
薬物の影響によって責任能力が減弱していたと主張するとともに,ダルクの施設長や家族が情状証人として出廷して薬物依存症からの回復の環境調整を語り,依頼者に法廷でダルク入所や回復のために必要な決意をしてもらいました。検察官が5年を求刑したのに対し,判決は懲役2年半で未決算入をひくと実質2年弱の懲役刑に減刑されました。
薬物依存症が背景にある刑事事件は,実は数多くあります。事件の表層にとどまらず,真の原因を探ると,依存症という根っこに辿り着くのです。そして,依存症からの回復には,適切な医療と,信頼できる支援者の存在が必須です。依存症者は,クリーンな環境で,自らと同じ苦しみを背負いつつ先をゆく者の背中を見て,自ら回復への道を少しずつ歩き出すのです。このような医療や支援について,正確な理解や連携関係がなければ適切な弁護はできません。そして,依存型犯罪(依存症が原因となって起こる犯罪)は違法薬物に限らず,処方薬・市販薬・アルコール等の物質依存の方,ギャンブル・盗撮・痴漢・万引き等の行為依存の方など,多くの依存症で起こり得ます。早期に適切な弁護士の助言・介入があることが好ましいと考えます。